多方面で活躍中の若手俳優・池田純矢が作・演出を手掛け、すべての世代が楽しみ、笑い、感動できる王道エンタテインメントに特化した企画「エン*ゲキ」シリーズ。

第3弾となる『ザ・池田屋!』は、幕末の「池田屋事件」の史実に基づきながら、池田独自の新たな解釈で紡がれたオリジナルのハイテンポ・ハイテンション・コメディだ。尊王攘夷派志士と新選組が集う池田屋でのある1日を長州藩士・吉田稔麿(よしだ としまろ)の視点で描き、いわゆる時代劇とは一線を画す斬新な演出で魅せていく。

今回は、作・演出・高杉晋作役の池田純矢と、主人公・吉田稔麿を演じる主演の鈴木勝吾にインタビュー。本作が共演11作目となり、プライベートでも親交の深いふたりに、ふたりの関係性や本作への思いを語ってもらった。
―公私にわたり仲がいいというおふたりですが、初めての出会いとそれぞれの第一印象について教えてください。
池田:初共演は2011年に撮影した映像作品です。でもその時は確か会っていないんですよ。

鈴木:ニアミスしていたんですけど、お互い記憶にも残っていなくて。だからミュージカル『薄桜鬼』の1作目が初めてご一緒した現場になるのかな。殺陣も歌もダンスもあって、お芝居もけっこうボリュームがある作品だったんですけど、彼は終盤1週間弱しか稽古に来れなかったんですよ。でも段取りがいいし、全部器用に完璧にやっていて。時間がない中、彼の年齢でそこまでの完成度でできる人ってあまりいないのですごいなと思いました。

池田:僕は最初、苦手意識がありました。勝ちゃんは誰に対してもオープンなんですよ。その時々の自分ってみんな絶対に違うはずなのに、それがないように見えて、何でこの人は初めて会ったはずの僕にこんなに己のすべてをさらけ出せるんだろうって怖かったんです。

その頃の僕は壁を作るのが上手な人間で、ある一定ラインを守っているつもりだったので、正直そこまで入ってくる人はいなかったんですけど、それがどうやら彼は気に入らなかったみたいで(笑)。彼の距離感はこちらも何かを提供しなければいけないという気持ちにさせるパワーがあるし、とり繕っている自分に対しても嫌悪感を抱いてしまったりもして、「ちょっと難しいな、この人」って思っていました。だから1作目が終わったときはそんなに仲良くなっていないんです。

鈴木:気に入らないってことはなかったけど…そうだね、2作目3作目とシリーズを重ねてカンパニー自体が仲良くなってからだね。「何が何でも絶対にいい作品にする!」という想いで全員がやっていたので、それゆえに仲がいいし、何でも話すし、お芝居の上でぶつかるようにプライベートでもけっこう色々なことをさらけ出せるような現場になっていったんです。みんなで旅行に行ったりもして。そういうカンパニーになる中で、まだひとりだけ「あれ、違うな」っていうのがずっとあって。

池田:そう、僕初めてだったんですよ。共演者と旅行に行ったのも、プライベートで朝まで飲んだにも関わらずその日の夜にまた集合するとか。だから僕の中ではとても大きな一歩というか、もう月面に着地したアームストロングのような気持ちで、みんなとすごく仲良くなったと思っていたし、「みんなのことが大好きだ!」って思っていたんです。でも旅行先で勝ちゃんから「っていうかさ、おまえそろそろ、それやめない?」って言われて。こんなにもさらけ出しているのに「えーっ!」て思いました(笑)。

でもそれが実はさらけ出しきれていなかったというか、たぶん子どものころからだと思うんですけど、自分で作っていた壁の中にもう1枚、自分でもわからない深層心理に堅めの壁がまだあったみたいで、僕自身、そのことに初めて気づかされました。

鈴木:お芝居でも稽古が進んで役の本質が見えてくると、追いついていない部分が気持ち悪くなるんですけど、人間関係でも、本当に仲良くなってくると、壁のようなものがあることに気づくと気持ち悪くなっちゃうんですよ。だから、僕がオープンに接しているからそうしてほしいということではなく、シンプルに「気持ち悪いんだけど」ってそのままを伝えたんです。

池田:それをこのままの言葉で言われるからドキッとするんですよ。普通ならそこでちょっと引いてくれると思うんですけど、勝ちゃんはそれを平気でぶち壊してくるというか、それを叩いて、硬かったらハンマーを持ってきてさらに叩くような人なんです(笑)。でもその時からですかね。彼と出会って、お芝居に対する気持ちはもちろん、仕事関係もそれ以外でも人への接し方は変わったと思います。
―今現在、おふたりはどんな関係ですか?
鈴木:友達です。

池田:とてもわかりやすいですね(笑)。

鈴木:でも逆に僕は今、彼に甘えている部分の方が大きいのかなと思います。プライベートでも。

池田:僕にとっては、言葉で説明するのは難しいんですけど、“鈴木勝吾っていうジャンル”の知り合いです。友達、仕事関係の人、鈴木勝吾のジャンルという知り合い(笑)。特別視しているわけではないんですけど、今仲のいい友達は彼と出会った後にできたと思いますし、仲が良くなるということの意味を教わったのかなと思います。

鈴木:昔の純矢はわりとプライベートも“池田純矢”っていうキャラクターだったんです。でも今はわりと仕事に対する顔とプライベートの顔がいい意味で違うよね。力を抜くことを覚えたのかなっていう。

池田:そうですね(笑)。

鈴木:だから彼がもし僕で変わったというのであれば、人間みんなずるいし、汚いけど、敵意はそんなにないんじゃないかってことを伝えたくらいかな。言いたいことも言うし、嫌なことは嫌だって言うけど、あなたを否定するつもりはなくて、ただ今やられたら僕は嫌だし、だけどあなたが友達なのは別に変わらないよって。言いたいこともそのまま言えるし…そんな関係です。

池田:僕は物理的にでも心情的にでも自分の中で何かしら変化があったときは、その時一緒に仕事をしていなくても、必ず最初に彼に報告をします。

鈴木:純矢はずっと前を向いて進んでいて、その行動力が今、全部いい結果に出ているんですよ。最近は仕事に関してもプライベートに関しても「良かったね」「おめでとう」って言えるような、こっちも幸せになれるようないいニュースばかりなので、僕もがんばろうって力をもらえますし、幸せをおすそ分けしてもらっているような感じです。
―おふたりのプライベートでのエピソードは何かありますか?
鈴木:よく風呂に行きます。

池田:風呂はしょっちゅう行くね。「あっ、今日銭湯行こう」って思うと、とりあえず1回勝ちゃんに電話します。あとは勝ちゃんの家で寝たりとか。この間行った時も帰るつもりだったんですけど、ちょっと飲んでたら眠くなっちゃって。

鈴木:あれはひどかった(笑)。

池田:勝ちゃんをソファで寝かせて僕はベッドで寝るっていう(笑)。

鈴木:あとは純矢が「勝ちゃんの家で飲もう」って言うから「いいよ」って言ったのに、来る早々「20分くらい寝かせて」って寝たこともありました。他にも友達が2人くらいいたのに20分じゃ全然起きないから、「お前が起きなきゃ始まらないんだから早く起きろよ」って言って。

池田:すごい顔叩かれたよね。

鈴木:顔パンパンだったからね。
―今後おふたりでやってみたいことなどはありますか?
池田:何かふたりで始められることができたらいいな、というのはこの間も少し話しました。一応ふたりとも同じジャンルでお芝居を主戦場として戦っているわけですから、具体的ではなくても一緒に燃やす何か、もちろん今も一緒に燃やしてはいるんですけど、燃える材料を一緒に見つけるところからできたらおもしろいかなと思います。

鈴木:彼が言うようにチームとなって何かひとつ物を作るというのはすごく有意義なことだからやりたいとは思いますけど…今は普通に沖縄旅行に行きたいです。

池田:行きたいね、それはいいね。

鈴木:プレイヤーだし年齢的にも色々したいという願望は生まれてくるんですけど、僕は先にそっちかな。南国に行きたいです。
―今回の舞台『ザ・池田屋!』についてもおうかがいしたいのですが、初めて台本を読んだ時の感想はいかがでしたか?
鈴木:早い段階で決定稿ではない、初稿か2稿の台本をもらったんですけど、文字が多くてしばらくは読む気になれませんでした(笑)。

池田:去年の5、6月ごろに渡したのかな。

鈴木:全然読む気が起きないんですよ、文字が多すぎて。ただ読まないと話ができないので、自分がこれをやらなきゃいけないってことを1回忘れて読みました。彼の作品は毎回、僕からはまったく出てこないセンスの種類の本で、シンプルにおもしろいので、今回もすごくおもしろく読んだんですけど、これをやるのはしんどい、というのは彼に伝えました。
―今回の主人公・吉田稔麿に鈴木さんをキャスティングした理由などはありますか?
池田:仕事での彼の存在って、僕の中ではカードゲームに例えると最強の武器カードなんですよ。とりあえず鈴木勝吾が出てきたら勝ち確定、「あっ、勝った!」って状態なんです(笑)。

彼はとても不器用な役者だと思っていて、そんなルートを通らなくても行けるのに、そのルートを通らないとそこには行かないっていうような人なんです。だからすごく大変で行きづらいだろうなって思うんですけど、そのルートを通るとなぜか誰にもない説得力が彼に降りるんですよ。ものすごいパワープレーでものすごく無駄な熱があって、いらない物をたくさん背負っているにも関わらず、それがある時とんでもない説得力になって、この人はここにいるんじゃないかと思わせる力がとてもすごい人なんです。だから彼が土台になると物語全体に現実味が帯びて、一気にリアルになる気がするんです。そういう意味で、僕にとっては勝ち確の最強の武器カードなんです。
―そんな鈴木さんが演じる吉田稔麿は、この作品内では“死ねない星の元に生まれた男”という設定ですが、具体的にはどんなキャラクターですか?
池田:普通の人ですよね。

鈴木:でも自分を普通の人、平凡だと認めているところが普通じゃないと思うんです。普通は認めたくないというか、自分は色々できる人間だと思いたいと思うんですけど、「僕は平凡です」って声高に言えてしまうところが逆に普通じゃないなと思います。

池田:かなりビビッドなセリフがあったり、ツッコミやボケ、振り回されたりと華はあるんですけど、この物語の中の吉田稔麿というポジションはとても普通で人間的です。僕の中では稔麿も普通から飛び出た所にはいるんですけど、他のキャラクターたちが飛び出しすぎているので普通に見えてしまうんですよ。ただ、ポジションとしてはやはり一番人間らしい、一番泥臭いただの人であってほしいなとは思っています。

鈴木:自分は普通でこんな世の中は嫌だ、と思っている稔麿が、池田屋で色々な人と出会い、騒動に巻き込まれていくというストーリーなんですけど、たった1日で人はこんなに変われるんだぞっていうところは観ている方たちに伝わったらなと思います。

誰と会って誰と話をして誰と仕事をするのかで翌日は変わりますし、その先も変わります。出会う人から何をもらうかってすごく重要だと思うんです。誰かに会うことによって生まれる何かがあることを、稔麿を通して感じてもらえたらいいなとは思います。きっと純矢はそんなふうには考えてはいないでしょうけど。
―ありがとうございます。それでは最後に、作者、座長として読者へメッセージをお願いします。
池田:手前味噌になってしまうんですけど、『ザ・池田屋!』を書いたとき、とてもおもしろいなと思ったんです。でも台本を書き始めるまではこの物語がこんなにおもしろくなるとは正直思っていませんでした。こういう物語にしようというプロットはありましたが、キャラクターたちが出てきてそのセリフの掛け合いの中で勝手に生まれていったものがけっこう多くて、僕ひとりの力じゃなく、今まで関わってきた人たちの力、これから関わってくれる人たちの力が働いたような気がしているんです。良い方向に色々な奇跡が働いたと思えるくらい、おもしろくなりました。

だからあとはこれをどうやって煮詰めてよりおもしろくしていくか。お客様にとってその瞬間、世界で一番楽しい2時間を過ごしていただくために、しっかり万全の準備をして板の上に持っていくので、楽しい時間を過ごしに劇場に足を運んでもらえたら嬉しいです。

鈴木:僕ら役者は純矢の演出を聞いてやるので彼の言うことがすべてではあるのですが、お笑いを観に行ったりテーマパークに行くのと変わらない感覚で来てほしいなとは思っています。何を見たいかはその人が選ぶべきものだけど、とにかく楽しい時間であるために僕らは努力するので、見た後に、その時間が楽しかったからまた明日からがんばろう、と思ってもらえたらそれでいいのかなと。それがお芝居を観に行くということだし、お芝居を作るということなのかなと思います。
エン*ゲキ#03『ザ・池田屋!』
東京公演:紀伊國屋ホール 4月20日(金)~30日(月・祝)
大阪公演:ABCホール 5月11日(金)~13日(日)
公式HP:http://www.enxgeki.com/
公式ツイッター:https://twitter.com/enxgekihttps://twitter.com/enxgeki

池田純矢プロフィール
1992年10月27日生まれ。大阪府出身。
2006年「JUNON・スーパーボーイコンテスト」で史上最年少準グランプリ受賞。映画「DIVE!!」、ドラマ「わたしたちの教科書」でデビュー。以降、「花ざかりの君たちへ~イケメン♂パラダイス~」、「斉藤さん」などで活躍。2011年「海賊戦隊ゴーカイジャー」でゴーカイシルバーを演じ人気を博す。2015年、自身が脚本・演出を手掛ける企画「エン*ゲキ」を立ち上げ、第1回公演「君との距離は100億光年」で舞台演出家デビュー。第2回公演「スター☆ピープルズ!!」では弱冠24歳にして紀伊國屋ホールで上演を果たす。主な出演作にミュージカル「HEADS UP!」「不届者」「破壊ランナー」、映画「曇天に笑う」「牙狼〈GARO〉神ノ牙」、テレビ「痛快TV スカッとジャパン」など。声優として「恋は雨上がりのように」「デジモンアドベンチャー tri.(ドット)」。「池田純矢のムビログ!」では映画レビューを連載するなど多方面で活躍中。

鈴木勝吾プロフィール
1989年2月4日生まれ。神奈川県出身。
2009年、ドラマ「侍戦隊シンケンジャー」のシンケングリーン/谷千明役で俳優デビュー。その後ドラマ・映画等で活躍を広げる中で、バラエティ番組から派生したバンド「ココア男。」にてCDデビューを果たす。2014年にはミュージカル「薄桜鬼」~風間千景篇~にて舞台初主演務めた。以後も舞台作品に多数出演し、着実に実力と経験を積み重ね脚光を浴びている。「エン*ゲキ」企画には第1回、第2回公演に引き続き本作も出演。主な出演作に舞台「瞑るおおかみ黒き鴨」、ミュージカル「Color of Life」「モマの火星探検記」「東京喰種 トーキョーグール」「ジョーカー・ゲーム」、ミュージカル「スタミュ」、少年社中×東映 舞台プロジェクト「ピカレスク◆セブン」、映画「忍たま乱太郎 夏休み宿題大作戦!の段」、「野良犬はダンスを踊る」、ドラマ「スイッチガール!!」「京都南署鑑識ファイル11」などがある。

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